「ブルーナが語る ミッフィーのすべて」白泉社
「ディック・ブルーナのすべて」講談社
「MOE 2009年 3月号」白泉社

 

「一番大切な絵本を選んで」と問われたら、真っ先に頭に浮かぶのは、「うさこちゃんの絵本」です。

 

どんな絵本?と思われた方も「ミッフィー」と聞けば、ご存知なのではないでしょうか?

 

ミッフィーのことを思うとき、私には「うさこちゃん」という名前がしっくりくるのは、この絵本を訳された石井桃子さんの言葉が私の言葉の原点になっているから。

 

この絵本に出会ったのは、もちろん子どもの頃。長い間記憶の奥底にあり、学生の時に当時好きだった作家の江國香織さんの講演会に行き、この絵本の魅力を再確認し、作家のディック・ブルーナさん、訳者の石井桃子さんの存在を知りました。そして、その後、お二人の本も読むようになり、その人としての在り方に影響を受けました。

 

デッィク・ブルーナの描く絵本は「シンプル」です。シンプルにデザインされた絵ですが、ブルーナは一枚の絵を決めるのに100枚の下書きをすることもあるくらい、丁寧に描いています。線もパソコンで書かないで筆で描く。単純な作業だからと手を抜かない、その姿勢が絵本から伝わるあたたかさなのかもしれません。そして、お話もとてもシンプルで、なんでもない日常を描いています。

 

『ディック・ブルーナのすべて』という本の最後に「私の本を読んで、子どもたちがほんのわずかでもあたたかさと幸せを感じてくれたらと思います。そして、世の中にはすばらしいことがあると気づいてくれるよう願っています。」とブルーナはメッセージを残しています。

 

訳者である石井桃子さんは、オランダまで行き、オランダ語を聞いてそのリズムと合うように絵本を訳されました。訳すときに言葉に真摯に向き合ってこられた石井さんもまた

 

「子どもたちよ 子ども時代をしっかりと たのしんでください。 なになってから、老人になってから あなたを 支えてくれるのは子ども時代の 「あなた」です。」

 

とメッセージを残しておられます。

 

絵本とは何か?

 

私の答えは「絵本を通して、幸せとは何かを知ること」だと思います。

 

現代は物も溢れ、情報も簡単に手に入るようになりました。でも、幸せなのかと聞かれたら、どうなのでしょうか?携帯画面を見て過ごす時間が多くなり、面倒な仕事をしてくれる機械があり、電子音と共に日常が動き出す。
心に残る子ども時代って何でしょうか?子どもにちゃんと伝えられているのか不安になったとき、やっぱり「うさこちゃん」の絵本を読みたくなります。

 

上段左から
「ちいさな うさこちゃん」「ゆきのひのうさこちゃん」「うさこちゃんとどうぶつえん」「うさこちゃんとうみ」
すべて ディック・ブルーナ作/石井桃子 訳/福音館書店
下段左から
「うさこちゃんの たんじょうび」ディック・ブルーナ 作・石井桃子 訳/福音館書店
「うさこちゃんの てがみ」ディック・ブルーナ作・松岡響子訳 福音館書店
「ふなのりのやん」ディック・ブルーナ作・松岡響子訳 福音館書店
「おうさま」ディック・ブルーナ作・松岡響子訳 福音館書店

 

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Kako

前職で国語を教えていました。国語の力の基礎は幼少期の読書です。本との最初の出会いである親子の読み聞かせの時間の大切さをたくさんの方に知っていただけたらと思い、読書支援活動をしています。1 児のママ。
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