『しろくまちゃんのほっとけーき』わかやまけん/こぐま社
『絵本からうまれたおいしいレシピ』宝島社

 

「ぽたあん どろどろ ぴちぴち ぷつぷつ やけたかな まあだまだ

しゅっ ぺたん ふくふく くんくん ぽいっ はいできあがり」

 

我が家にあるおいしい絵本の中ですべてのページを覚えるほど読み返した『しろくまちゃんのほっとけーき』。ホットケーキが焼けるページの音を声に出しながら、息子と一緒に何度もホットケーキを焼きました。だからなのか、息子の一番好きなお料理はホットケーキ。ホットケーキの思い出にはいつも幸せなにおいと音とオレンジの表紙の絵本があります。

 

『おいしいおと』は私の思い出の一冊です。野菜が苦手で刻んでもなかなか口にしなかった息子がこの絵本のレタスのページのまねをして「カシャッコ シャン シャン シャン シャン ああおいしい」とレタスを食べました。なにをしても食べなかった野菜のおいしさ絵本を通して体験することで安全な食べ物であることがわかったのでしょうか。絵本のある子育てをしながら絵本の力を感じた瞬間でした。

 

そして、我が家の一番お気に入りの絵本は『からすのパンやさん』。

 

『からすのパンやさん』かこさとし/偕成社
『未来のだるまちゃんへ』かこさとし/文藝春秋

 

絵本のからすの親子が考えた何種類ものパンが並ぶページは読み聞かせの途中で時間をかけてじっくり眺めて、今日はこれが食べてみたいなんて言う話になります。

作者のかこさとしさんは今年の5月にお亡くなりになりました。かこさんが絵本つくり中で大切にされていたことが「未来を生きる子供たちに、その手がかりとなるこの世界の地図を手渡すような気持ちで、絵本をつくる」ということ。

 

幼い子の食べるということは初めて出会う食べ物を口に入れる経験を重ねるということ。初めて出会うものばかりですから、口にいれるとなったらそれはもう安全かどうか慎重になるわけで、絵本を通してその食べ物に害がないこと、おいしいことを知ることは生きていこうとする幼い子供たちにとって重要な情報なのかもしれません。

だからこそ、小さな子どもにとって大切な「食べること、眠ること」その部分が安心できて幸せな時間であってほしいと思います。それを伝えてくれる多くの絵本。

 

毎日のおやつや家族で囲む食卓、ピクニックも絵本のエッセンスを少し入れて、この世の中に楽しくて幸せな時間がたくさんあることを伝えられるような「生きる手がかりとなる世界の地図」を子どもたちに手渡せていけたらと思います。

 

左上から
『バムとケロのにちようび』島田ゆか/文渓堂
『ぐりとぐら』なかがわりえこ 作/おおむらゆりこ 絵/福音館書店
『ノンタンのたんじょうび』キヨノサチコ/偕成社
左下から
『おいしいおと』三宮麻由子 文/ふくしまあきえ 絵/福音館書店
『14ひきのあさごはん』いわむらかずお/童心社
『おべんとう』小西英子/福音館書店

 

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このコラムを書いたママ

永井 知佳子

前職で国語を教えていました。国語の力の基礎は幼少期の読書です。本との最初の出会いである親子の読み聞かせの時間の大切さをたくさんの方に知っていただけたらと思い、読書支援活動をしています。5歳児ママ。
Instaguram→@kakobook
Blog→http://ameblo.jp/honnotane100-ehon