子どもとの暮らしの中、なにげないことに、はっとするときがあります。
一番多いのが「できるようになりたい」という思いを見たときです。
それは寝返りしたり、立ったり、歩いたりしたときから、ずっと変わらず子どもにとって大切なものなのだと感じます。

 

歩き始めた頃の長女、今度は次の手ごたえを求めている姿かな。

 

先日、こんなことがありました。

 

学校の家庭科で「野菜サラダ」を習ってきた小学5年生の次女。
「へえ~、どんなの作ったの?」と聞くと、
家でも同じようにやってみる!食べさせてあげる!と大はりきりです。

 

夕食準備のキッチンで、まず初めに「絶対何も言わないでね!」とくぎを刺されました。
娘は「5人分だったら班で作ったのと同じ量だ」と言いながら、野菜を洗ったり切ったり。
キャベツやアスパラを茹でる時にはタイマーを持ってきて、きっちり測ったり。

 

途中、「これどうしようかなあ」とつぶやきが聞こえてきて
「あ、それ…」と言いかけたら、
「何も言わんといて!」の声がぴしゃりと飛んできます。(しまった!)

 

プチトマトにキュウリ、茹でたキャベツとアスパラの野菜サラダ。好みのドレッシングで。

 

そして、「いただきます」の時間。
休日だったこともあり、お父さんもお姉ちゃんもおじいちゃんも全員集合。
「これ、自分だけでぜーんぶ作ったよ」と、得意そうに紹介していました。

 

「へえ!自分だけで?」の声に、さらにニコニコ顔。
「学校で習ってきたからね!はい、一人ずつ感想を言ってください」司会進行も調子よく、
「おいしいなあ。ありがとう。」「キャベツのゆで加減が絶妙!」など家族からの言葉にとってもうれしそう。

 

「どうして何も言わないで、って言ったの?」
「誰にも何も言われないで、自分一人で全部やった、って言いたかったから。」

 

そうか、それほど大事なんだね。
大きくなったから自分で説明してくれるけれど、前からずっとそうなんだろうね。

 

日常生活の中、親は「つい」「よかれと思って」口を出してしまいがち。
わたしもその一人です。
だから、意識して「言わない」と決める。「求めていないときにアドバイスはいらないよね。自分で学ぶ機会を奪うことになるよね。」と自分に言い聞かせつつ。
そんなことを改めて思う夜でした。

 

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このコラムを書いたママ


吉田尚子

一般社団法人家事塾 1級家事セラピスト 吉田尚子
「かぞくで家のコト」をテーマに暮らしの講座(子育て、家事、時間、片づけ)や個人レッスンなど、親子の笑顔がふえるようにと活動中。
ブログ「かぞくの家事ノオト」http://shoko3.net/