「昨年までは、取り込んだ洗濯物を渡したら、床に広げて喜んでたたんでくれたのに、なんだか今はあまりこのお手伝いをしてくれない。どうしてかなあ。」と3歳半のお子さんのママから。

 

その理由の1つに「もうおもしろくないから」「飽きちゃったから」があるかもしれません。

 

赤ちゃんから幼児まで、できるようになるまで何度も繰り返しながら、経験しながら、体の動きを身につけていきますよね。子どもたちにとって「できるようになりたい」というのは、体の声、意欲そのものかもしれないとさえ思います。

 

そう考えると、「おもしろい」というのは、「手応え(てごたえ)」ということ。
うまくできるようになっていくのが楽しい。だから、できるようになったら、興味は移って当然です。そして、大人は次の手ごたえを考え、お手伝い内容の進化を。

 

 

たとえば、ママが洗濯ハンガーから外して渡していたのなら、ハンガーから外すところをまかせてみる。ピンチをつまんで外したり、ひっぱったり。
たたんで終わりだったなら、そのあとに家族の人別にかごに分けたり、運んだり。自分のものなら、引き出しにしまう作業につなげるといいですね。
(…となると、子どもにわかりやすい収納が助けになります。)

 

もうひとつ。それは「ママからの反応のもの足りなさ」
やり始めたころは「へぇ、すごいね。たためたね。」などとできることをいっしょに喜んでくれたママも、できるのが当たり前になってくると、掛ける言葉が少なくなってくることも。

 

「子ども家事塾」のワークから。「お手伝いのいいところ」を考えた園児・小学低学年の子どもたちの声は、ママからのことばがうれしさにつながっていることを示しています。

 

幼い子は、ママが喜んでくれることが喜び。
「たたんでくれて、助かるわ。ありがとう!」
「前よりも早くなったね」
「あなたはていねいにたたむね」

 

「えらい」、「すごい」ではなく、会話として「ママの気持ちを伝えることば」があるといいなと思います。この言葉は、きっとママに帰ってきますよ。
「ママ、ありがとう」
「お弁当、おいしかったよ」って。

 

言葉だけではありません。じょうずに一人でできるようになっても、時々は、ぜひ一緒にやってみる時間に戻ってみてください。
そして、ぎゅーっとゆっくりハグです。

 

家事はこなすだけのものではなく、家族をつなぐ時間になります。

 

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このコラムを書いたママ


一般社団法人家事塾 1級家事セラピスト 吉田尚子

モットーは「五感にひびく、今ここにある日常を味わう」こと。「かぞくで家のコト」をキャッチフレーズに、暮らしを見わたす視点で、子どもとお手伝い、家事、時間、片づけなどの講演、講座、個人の相談に寄り添う。家事塾(創立・辰巳渚)での学びと前職学習塾で多くの親子に関わってきた経験を活かし、親子の笑顔を願って活動中。

「かぞくの家事ノオト」https://shoko3.net/