わたしが働いている保育園では、おやつや食事で使うおしぼりを保育者がテーブルに配りますが、1~3歳になった子どもたちが、「やりたい!」と配りたがる場面がよくあります。
任せると、どれが誰のか、考えながらテーブルに配置。生活の中で毎日くり返していることはよく見ていて、意味も理解しているんだなと成長を実感するシーンです。
「配ってくれたね。助かったわ~。ありがとう。」とニコニコして伝えると、言われた子どもも本当にうれしそうにニコニコ。
始めは「やりたい」という自分の興味から生まれたことが、誰か(ここでは先生)のニコニコ笑顔につながって、その喜びが伝わって自分もうれしいと感じる。この感情のやりとりが、次の何を育てるのでしょうか。
次女、0歳の頃。はじめてのりんごを口に入れてもらい、味わう。
始めは赤ちゃんとしてすべてを大人にやってもらっていた存在が、少しずつできることを増やし、体を使って試していく。その発達の場と機会が「生活そのもの」です。
「大人がやった方が早い」は当たり前ですが、子どもの発達の場を奪わないようにという視点も、その先を見たら大切なことです。
実は、「お手伝い」は、感謝やねぎらいという「人との関係」が加わることで、さらに「やり遂げる力」や「新しいことに挑む力」、「人を助ける力」、やがては「チームワーク力」など、これからの人生で土台となる力をはぐくんでいきます。
幼児になると家の中のおそうじチェックマンとしても活躍の次女。
始めは「えらい!」「すごい!」と大げさにほめることもあるかもしれませんが、子どもたちのやっていることをそのまま口に出し、自分の感情やありがとうをニコニコ伝えてみることをおススメします。
「お箸を並べてくれたね、うれしいわ。ありがとう。」
「タオルをたたんだね。助かったわ。ありがとう。」
「おもちゃを箱にもどしたね。ありがとう。」
やっていることを認めているメッセージで、乳幼児期なら動作と言葉も結びついて「何をどうする」の理解へもつながります。
笑顔いっぱいの「ありがとう」で、伸びようとする子どもの気持ちに目をむけてみませんか。その「ありがとうの笑顔」はやがて自分にも返ってきますよ。
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吉田尚子さん
一般社団法人家事塾 1級家事セラピスト。保育士。「かぞくで家のコト」をテーマに、暮らしを見わたす視点で、子どもとお手伝い、家事、片づけなどの講座、個人の相談に寄り添う。家事塾(創立・辰巳渚)での学びと前職学習塾で多くの親子に関わってきた経験を活かし、親子の笑顔を願って活動中。
「かぞくの家事ノオト」https://shoko3.net/