将来子どもが英語で苦労しないよう
今からできることは?

 

2021年から「センター試験」が廃止され、「大学入学共通テスト」が実施されるようになりました。1月の試験実施日には、Twitterのトレンドワードに「共通テスト 英語」が急浮上。英語が難化した、リスニングが難しいというような投稿が相次ぎました。

 

子育て中の方であれば、将来子どもが英語で苦労しないよう、幼少期から何か始めておきたい…と思っておられる方も多いのではないでしょうか。

 

実は、幼少期から英語教育を行っても、日本で暮らす日本語母語話者が英語をネイティブレベルに習得するのは極めて困難であると言われています。なぜなら、日本語と英語は表記や仕組みが大きく異なる言語であり、圧倒的にインプット(英語と触れる時間)が不足しているからです。

 

幼少期から
英語教育を行うメリットは?

 

では、幼少期から英語教育を行うメリットとは?近年の研究では、幼少期からの外国語教育を経験した人は、そうでない人よりも外国語学習のモチベーションが高いことが分かっています。

また、年齢の低い児童の方が、外国語学習や外国語への興味が高いということも分かっています。

つまり、外国語への興味を持ちやすい幼少期から英語に触れておくことは、将来のお子さんの英語教育のモチベーションを上げることにつながる可能性があるのです。

 

英語があまり話せないママ、パパでも、お家に英語がある環境を作ってあげることは可能です。最初から高額な教材セットを買わなくては!と思う必要はありません。自宅での英語教育にオススメなのが英語絵本の活用です。

 

海外の出版社の英語絵本も通販で気軽に買えます。

 

日常の子育てに
英語絵本を取り込んでみて

 

私は長男が生後10カ月月を迎える頃に、自宅で英語の絵本の読み聞かせを始めました。読み聞かせると言っても音読はCDに任せることがほとんどです。当時は私もどこまで継続できるのか自信がありませんでしたが、子どもの楽しそうな反応を見ているうちにすっかりハマってしまいました。

 

2歳の誕生日を迎えた長男。動物や果物、形や色、数字など身近なものであれば英単語を聞いて指差しができるようになりました。例えばapple, peach, banana, orange, car, airplane, cow, giraffe, elephant, monkeyなどは英語で発音し、1〜10も数えることができます。日本語と英語の歌を口ずさみながら遊び、絵本の棚からは日本語と英語どちらで書かれた絵本も関係なく「読んで」と持ってきます。そこに日本語と英語の垣根はありません。

 

絵本の朗読が難しいと感じる場合は、英語の歌をかけ流すことから初めてみてください。

 

すでにお子さんが小学生以上の方は多読教材を取り入れるのもオススメです。英語は世界中に多くの学習者がいるので、日本語と違い、言語習得に役に立つ絵本や多読教材が充実しています。

 

英語の多読教材の中には、イギリスの80%以上の小学校で採用されている国語の教科書である『Oxford Reading Tree』のようにステージが設けられており、文字数や語彙数が増えていくように作られているものもあります。他にも『Sight Word Readers: Learning the First 50 Sight Words』や『First Little Readers Guided Reading Level A』など、手軽に始めやすい本のセットもWEBで販売されています。CDが付いているものもありますので、ご両親が英語の発音に自信がなくても大丈夫です。

 

ぜひ絵本を楽しみながら親子で英語にふれてくださいね。

 

 

3月5日(金)に開催するママズカレッジ「言語習得の専門家に訊く 子どもの英語のはてな講座」で小口先生にお話ししていただきます。第二言語習得研究や外国語教育研究の結果もふまえながら、子どもの英語教育について何からどう始めればいいのか詳しくお話ししていただきます。年齢別の絵本の紹介や質問タイムあるので、興味のある方はぜひご参加くださいね♪

 

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小口悠紀子さん

 

 

広島大学教育学部准教授。専門は第二言語習得研究。マレーシア、韓国、トルコ、フィリピンなどで日本語を教えた経験を経て、現在は大学で留学生への日本語指導や日本語教員養成に携わる。主な著書に『超基礎日本語教育』(くろしお出版)、『日本語教育へのいざない ―「日本語を教える」ということ―』(凡人社)。