私は幼い頃、算数が苦手でした。数字を見るのもいやだなぁと思ったこともあります。今から思えば、それは数を通してイメージできる世界が狭かったのではないかと思います。
国語を教えていたころ、同じように文字を通してのイメージが少なく、国語が苦手だという子どもが何人かいました。この経験から勉強や何事においても子どもにとっては、様々な経験を積んで、そのイメージを持ち、それが言葉になり、行動できるようになっていくことが大切なのではないかと思うようになりました。
だから幼児期に絵本を通して、様々な世界を体験しておくことは子どもたちの世界を広げるきっかけになるのではないかと思います。

 

今回のテーマは『かずの絵本』。数の世界に小さなときから楽しめる絵本を紹介させていただきます。

 

 

『かぞえてみよう』安野光雅 作・絵/講談社
『10人のゆかいなひっこし』安野光雅 作・絵/童話屋

 

安野光雅さんの『かぞえてみよう』はかずを数えるようになる小さな人にもおすすめの一冊です。この絵本のすばらしいところは真っ白な雪でおおわれた何もない世界「0」から始まること。数を数えるときに1・2・3・・・と数えますが、「0」も数です。そして、1のページを開くと、「木が1本」「家が1軒」「雪だるまが1つ」というように1つの物を見つけて数えられるように描かれています。数字を教えるときに大人はお風呂で1から100まで数えるように教えますが、この絵本は数とは字ではなく1対1対応であることをきちんと教えてくれる絵本になっています。大人は当たり前のことであっても子どもたちは新しい世界への一歩め。安野さんの絵本はその子どもたちの目線で描かれているのでおすすめです。

 

 

『100かいだてのいえ』いわい としお /偕成社

 

次に、いわいとしおさんの『100かいだてのいえ』もおすすめの一冊。この絵本の楽しいところはページを上へめくることで100階建ての建物をのぼっていく感じがすることと、10階ずつ違う住人が住んでいてその部屋を階段で登り、10が10個で100になるという構成になっているところ。算数の10進法の考え方を自然に教えてくれる一冊です。こちらは数字かるたもあって、ひらがなかるたのように遊べるので数を字で読むことも一緒に遊びながら覚えられます。我が家でもこのカードを廊下に1から100まで並べる遊びを息子としました。

 

今回は算数につながる「かずの絵本」世界を紹介させていただきました。子どもは家から離れた学校や幼稚園でお話しするとき、自分が知っていることがでてくるととても自慢そうに「知ってる!」といいます。初めて習う前にちょっと知っていることだけでその物事へ興味関心を持つようになるかもしれません。その初めの一歩を安心して踏み出せる大人と一緒であれば、それは幸せな一歩なのではないでしょうか。
絵本を通しての勉強だと思う必要はないと思いますが、遊びながら一緒に楽しめばきっと新しい世界との出会いが待っています。

 

 

上段左から
『1つぶのおこめ さんすうのむかしばなし』デミ作・さくまゆみこ訳/光村教育図書
『はじめてであう すうがくの絵本』安野光雅 福音館書店
『まめのかぞえうた』 西内ミナミ 作/和歌山静子 絵/すずき出版
下段左から
『ことり』中川ひろたか 文/平田利之 絵/金の星社
『My Very First Book of Nnmbers』エリックカール/Philomel Books
『わたし たしざん できるの』 ディック・ブルーナ 文・絵/松岡享子 訳/福音館書店
『シロクマくんのおきゃくさん』ポール・オーウェン・ルイス 作/きくしまいくえ訳/偕成社

 

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このコラムを書いたママ

永井 知佳子

前職で国語を教えていました。国語の力の基礎は幼少期の読書です。本との最初の出会いである親子の読み聞かせの時間の大切さをたくさんの方に知っていただけたらと思い、読書支援活動をしています。5歳児ママ。
Instagram→@kakobook
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