『木はいいなぁ』ユードリイ作/シーモント絵/さいおんじ さちこ 訳/偕成社

 

新緑の季節になると、木の下に立って、春の風で揺れる葉擦れの音に耳を澄まします。
幼い頃読んだ物語の中でも、木はツリーハウスとして主人公たちの隠れ家であったり、木のうろに眠る動物はとても心地よさそうであったりしていたことが記憶にあって、『木』は何か特別な存在であるように感じています。

 

今回のテーマは『木の絵本』。このテーマにしようと思って、一番に頭に浮かんだ絵本は、
やっぱり『木はいいなぁ』です。作者のユードリイは、都市化が進むにつれ、子どもたちの自然との生活が失われていくことを嘆きこの絵本を描きました。でも、その中身は嘆きではなく、木登りしたり、木陰で休んだり、素晴らしい木とのふれあいの日々が描かれており、自然の大切さを語らずとも教えてくれる一冊です。

 

『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン作・絵 ほんだきんいちろう訳/篠崎書林

 

次に、『おおきな木』も英語の教科書に載っているのでご存知の方も多いのではないでしょうか?この絵本の中の木は男の子の成長に寄り添いつつ、男の子が成長するにつれて、木の葉を与え、木の実を与え、枝葉を与え、そして最後には幹を与え、最後は切り株になっていくというお話。こちらの木は「与える愛」がテーマになっています。

 

木の下に立つと、その地面の根の深さを感じ、そしてお日さまに向かって力強く伸びる枝葉に生きる力をもらい、物語が生まれるのでしょうか?
私は、子どもの成長を木に例えてを思うことがあります。そして、絵本は根っこ部分にある豊かな土壌だと感じるのです。なぜなら、絵本で描かれる世界は、読者が必要な栄養を与えてくれるからです。たくさんの本を読んで、しっかりと土壌にある水分を求めていけるような根をはり、太陽に向かって枝葉を伸ばしていって欲しい。絵本の栄養がどうか子どもたちの心に届きますように。

 

上段左から
『はるにれ』姉崎 一馬 写真./ 福音館書店
『木』佐藤」忠良 画/木島 始 文 福音館書店
『もりのえほん』安野 光雅 /福音館書店
下段左から
『大きな木のような人』いせひでこ/講談社
『リンゴの木』エドアルド・ぺチシカ 文/ヘレナ・ズマトリーコバー 絵
うちだ りさこ 訳/福音館書店
『きのうえのおうちへようこそ』ドロシア・ウォーレン・フォックス 作/おびかゆうこ訳/偕成社

 

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このコラムを書いたママ

永井 知佳子

前職で国語を教えていました。国語の力の基礎は幼少期の読書です。本との最初の出会いである親子の読み聞かせの時間の大切さをたくさんの方に知っていただけたらと思い、読書支援活動をしています。5歳児ママ。
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