『あなたが うまれた せかい』
ウィリアム・ホール 文/ロジャー・デュボアザン 絵/ほしかわ なつよ 訳/童話館出版

 

東京子ども図書館 松岡享子さんは、「どうぞ、こどもたちに、本を読んでやってください。」と第一に語られます。私もその言葉のとおり子どもたちには「本を読みなさい」という声をかけるのではなく、私自身の声で本を読んできました。

 

なぜなら、言葉の中には文字だけでない私の経験を通した解釈や味わいが伝えられるからです。

 

『えほんのせかい こどものせかい』という本の中にも「子どもに本を読んでやるとき、その声を通して、物語といっしょに、さまざまなよいものが、子どもの心に流れ込みます。」

 

とあるように、読み手の感性を声で伝えることが、絵本を読むときに一番大切なことだと思います。

 

 

『あなたがうまれたせかい』という絵本では、「あなたがうまれた せかいは、すてきなところです。あさになると、おひさまが かおをだして、ほほえみます。」とありふれた日常にある普通の幸せが描かれています。

 

子どもが生まれて親が伝えることは、まず「生まれてきた世界がすてきなところで、安心していいよ」と伝えてあげることだと思います。

 

絵本は、親から子へそれができるツールで、親は絵本を手に取って自分の心に響いたものを伝えていくことがいいのではないでしょうか?

 

もちろん、良書や子どものときに読んだ方がいい本、教育的な面から読んでおいた方がいい本というものもありますが、その子が一生本と仲良くしてくれたらいいと思うのであれば、どうぞ自分の心と子どもの心にぴったりと合った絵本を選んでください。

 

そして、絵本の世界を一緒に楽しんでください。本は面白いし、楽しいし、わくわくするし、心が落ち着くものだと知っている子どもたちは、いつか成長したら自分で必要だと思う本に手を伸ばしていくものです。

 

『えほんのせかい こどものせかい』
東京子ども図書館  松岡享子/文春文庫

 

—————————

Kakoさん

 

元国語講師。図書館司書。絵本のある子育てはじめて見ませんか?子どもの好奇心からの学びを大切にしたいと考え、読書教育、読書推進活動をしています。9歳児のママ。
Instagram→ @kakobook
Blog→http://ameblo.jp/honnotane100-ehon