『たいせつなこと』
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
レナード・ワイスガード 絵
うちだ ややこ 訳
この春に入園、入学、進級、と新しいスタートを切っている子どもたち。
新しい環境だからこそ今までの自分のいいところも悪いところも浮き彫りになってきて、気持ちが安定しない場面も多いのではないでしょうか?
お母さんたちにとっても新しいスタートです。そんな子どもたちを無理せずゆっくり見守ればいいと思いながらも、心中穏やかでいられない日々。
今まで私は迷ったり、落ち込んだりすることがあると本屋に立ち寄り、絵本の力を借りてきました。今回は人生のターニングポイントで力を貸してくれた絵本を紹介したいと思います。
その一冊は、マーガレット・ワイズ・ブラウンの『たいせつなこと』です。
この絵本には、私たちの身の回りにある道具、草花、自然にとって「たいせつなもの」が描かれ、そして最後にはこう書いてあります。
あなたはあなた
あかちゃんだった あなたは からだと こころを ふくらませ ちいさな いちにんまえに なりました
そして さらに あらゆることを あじわって おおきなおとこのひとやおんなのひとになるのでしょう
でも あなたに とって たいせつな ことは あなたが あなたで あること
子ども向けのメッセージかもしれませんが、わたしにとっては、大人になった今でもずっと心にとどめておきたい1ページです。
人生には、人に相談できず困ってしまったときに、そっと寄り添ってくれる本があると思います。人によって本を読んで心に残るページが違うのは、本を読みながら自分の人生を読んでいるからなのかもしれません。
子どもの頃に読んだ絵本を大人になって読んで、印象が違うと思うのは、自分が成長したり、経験したりして「自分」というものを作ってきているからなのではないでしょうか?
子どものときにしか出会えない本もあれば、大人だからこそ出会える本もある。
絵本には年齢制限はないので、大人も絵本をよんでみませんか?
上段左から
『あかちゃんがわらうから』おーなり由子/ブロンズ社
『すばらしい季節』タシャ・チュダー作/末盛 千枝子 訳/すえもりブックス
『ありがとうのえほん』フランソワーズ作/なかがわ ちひろ訳/偕成社
下段左から
『フレデリック』レオ=レオ二作/谷川俊太郎 訳/好学社
『ぼちぼち いこか』マイク・セイラ―作/ロバート・グロスマン絵/いまえ よしとも訳/偕成社
『かしの木の子もりうた』ロバート・マンチ原作/細谷 亮太 文/いせひでこ 絵/岩崎書店
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永井 知佳子
前職で国語を教えていました。国語の力の基礎は幼少期の読書です。本との最初の出会いである親子の読み聞かせの時間の大切さをたくさんの方に知っていただけたらと思い、読書支援活動をしています。5歳児ママ。
Instagram→ @kakobook
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