「家事」というテーマで、乳幼児のお父さんお母さん対象の講座をすることがあります。そんなときに必ずと言っていいほどいただくご質問は
「効率よい家事は?」
「仕事と家事の両立のコツは?」
「夫や子どもも巻き込むのはどうしたらよい?」
そして講座でお話した後に、「ハッとした」と感想をいただくのが
「家族というチームを育てることが大切だと分かった。」
「なんでも省力化が正解でもない。人によって手をかけたいこと、気になることは違うのだということに気づいた。」
「家事は作業というより、好みや経験に関係するもの。「自分なりのもの」だから、チームになったら手を動かしながらのコミュニケーションが必要と気づいた。」
普段家にいない夫と小学4年生の頃の次女。食事の後片づけとおしゃべり。
「家事」というものは、皆さんそれぞれの中にあるもので、経験の中から積み重なった、いわば「おうちの文化」。そういう様々な文化や背景を持って、出会い、家庭を作るわけです。ですから、どちらに合わせるということではなく、また新しい自分たちの「おうちの文化」に仕立てていく必要があります。そのために必要なのは、手を動かしながらのコミュニケーション。
「今まで、『じゃあゴミ捨てやって』と作業だけを分担して、相手の意見など聞いたこともなかった」
という声もお聞きします。皆さんはどうでしょう。
要望は言っていても、相手の意見を聞こうとしなかった。「こうしてもらえたら、うれしい」「助かる」と伝えてこなかった。と気づかれる方は多く、家事の問題の根っこにコミュニケーションの仕方があるんだなと思うのです。
「毎日のことなのに、言わないとやらない」「こんなにやって(あげて)いるのに!」
などついダメ出ししたくなることもありますが、気になる人と気にならない人(もしくは、まだうまくできない人)がいるから起こること。気になる人が、「気になるので、もうちょっとこうしてもらえると助かるから」とお願いしてみる。
そんな発想も大事なのかもと思います。
長女8歳、次女3歳のころ。混ぜる回数を数えることで、もめごとを回避している二人
さまざまな道具や外注も登場し、家事の様子は時代とともにずいぶん変化してきました。これからますます進むでしょう。手を動かすことや、家族の関係づくりに家事を役立てていただけたらと思います。
2020年に小学校の学習指導要領が改定され、2021年は中学校、2022年は高校と続きます。「主体的・対話的で深い学び」の視点が大切だよと言われている子どもたちの未来。
家族間をつなぐコミュニケーションは、そういった力も育んでくれるでしょう。「家の中でつながる力」をはぐくみながら、家族としてともに発達していけますように。
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吉田尚子さん
一般社団法人家事塾 1級家事セラピスト。保育士。2人の子どもの母。「かぞくで家のコト」をテーマに、暮らしを見わたす視点で、子どもとお手伝い、家事、片づけなどの講座、個人の相談に寄り添う。家事塾(創立・辰巳渚)での学びと前職学習塾で多くの親子に関わってきた経験を活かし、親子の笑顔を願って活動中。
「かぞくの家事ノオト」https://shoko3.net/